ひとりの楽しみも十分楽しくて、充実していて。
ひとりだから誰かに傷つけられることも、傷つけることもなくて。
いけないはずなんてない。
なのに、どうしてこんなに不安になるんだろう。
どうして何かが欠けているような、そんな気持ちになるんだろう。
そして、こんな風に頭の中でぐるぐると考えて、全然答えがでなくて、煮詰まった気持ちになるときに思い浮かべてしまうのが、颯太くんだった。
よく考えてみたら、えれな以外であんなに話をしたのは、颯太くんが初めてなのだ。
えれなとは小さい頃から一緒にいるから、多くを口にしなくてもなんとなく互いの言いたいことがわかってしまう。
「あれがさー」「ああ、わかるあれってやっぱいいよね」みたいな感じで会話が成立してしまうことも多い。
でも、颯太くんは違う。
もっと丁寧にコミュニケーションをとろうと思わないと、伝わらない気がする。