「ほんとにひとりぼっちだったら、ひとりでいるのが好きだなんて言えない」

「そっか。そうだな」

「だから、わたしにとってえれなはすごく大事なんだ」

「うん」

「いつも、わたしばっかりえれなにしてもらってるような気がしてたの。だから、えれなが少しでもわたしのことを頼りにしてくれてるならうれしい」

「そっか。……ふたりはほんとに親友なんだな」

その言葉にわたしは思わず大きくうなずいた。わたしにとってえれなは大切な親友。えれなにとっても同じような存在でありたい。

「だから、えれなが悲しい顔するようなことはしないでほしいな」

「…………」

その言葉は、遅かれ早かれえれなとつきあうであろう颯太くんに向けた言葉だった。大事にしてあげてね、ってそう言いたかった。

「……あのさ、理緒」 

颯太くんが何か言いかけたとき、「しばらくお待ちくださーい」という警備の警官の大声とピーッという高い笛の音が鳴り響いた。人並みがなにごとかと一瞬動きをとめる。遠くから勇ましい男達の声が近づいてきた。