わたしとえれなは幼稚園からずっと一緒だ。

ぜんそく持ちだったえれなは、細くて小さい女の子だった。幼稚園を休むことも多くて、なかなかなじめなかったのか、登園するときは、わたしのそばにいたがった。こわがりで、不安にのみこまれてしまうことも多くて、何かあるとすぐ泣いていた。泣き止まないえれなに困り果てた先生が、ほかの組のわたしを頼って呼びに来ることすらあった。

他の教室で折り紙をしていても、お遊戯をしていても、先生に呼ばれたらすべてを中断してえれなのもとに駆けつけた。泣きじゃくるえれなをクラスの子たちが困り顔で取り囲んでるなんてことはしょっちゅうだった。

わたしが隣に座って、腕に触れるとえれなの身体が泣きすぎて熱くなっていたことをよく覚えている。濡れた目で私を見て、ほっとした顔になるえれなの手を強く握ってあげていた頃が嘘のようだ。

小学校の中学年くらいになると、ぜんそくがおさまり、学校を休むこともなくなった。このころから、えれなの存在感はどんどん増して行った。

背が伸びてどんどん女らしくなっていくえれなは、外見がきれいになればなるほど、自信をつけていくようだった。

さみしがりやだからこそ、甘え上手なえれなは、クラスメートからはもちろん、先生たちのウケもよかった。勉強もスポーツも成績は普通くらいだったのだけれど、困っていると必ずどこからか手がさしのべられた。えれなも当たり前のように、その手をつかみ、すべてをそつなくこなしていたと思う。