お参りを終えて、参道の両脇に並んだ屋台を見て回る。

と、風車やおめんがならべられた屋台の前に、水風船やスーパーボールがたくさん浮いた水槽が置かれた店があった。

「わー」

色とりどりの水風船に目を奪われて、思わずかけよる。

「理緒、こういうの好きそう」

颯太くんに言われて、大きくうなずいた。

「こういう風にいっぱい並んでるの見ると、テンションあがる」

「あー、なんかわかる。わくわくするよな」

「そうそう。全部ほしくなっちゃう」

赤、オレンジ、水色、ピンク。いろんな色の水風船が並んでいる。中には黒や紫といった強い色のものもあった。それぞれに描かれた模様によって、印象も変わる。

わたしはひとつひとつをじっくり見たくて、水槽をのぞきこんだ。

すると、颯太くんが言った。

「理緒が好きそうなやつ発見」

「えー?」

颯太くんが指差す方を見たとき、はっとして一瞬世界がとまった。驚きで、心臓がぎゅっとつかまれたような気がした。