「え???」
思わず大きい声が出てしまった。
「なに」
颯太くんがスマホを覗き込んできた。
わたしはえれなのメッセージを見せながら言った。
「えれな来れなくなっちゃった……」
「そっか」
動揺するわたしとは裏腹に、颯太くんは特に反応もなく、淡々としていた。
「どうしよう」
思わずせっぱつまった声がでた。このまま颯太くんとふたりでお祭りに行くわけにはいかない。そんなの無理。ありえない。
わたしはさっさと歩き出した。
「理緒?」
驚いた颯太くんが追いかけてくる。
「えれなが来れないなら、帰る」
「なんで。いいじゃん、せっかくだし、行こうぜ」
颯太くんは子供みたいな笑顔で、そう言った。もう完全お祭りモードになってしまっていて、わくわくしているのが伝わってくる。
「行けないよ、ふたりでなんて」
正直なことを言えば、もちろん一緒に行きたかった。颯太くんと一緒に出かけるなんて、考えもしなかったのに、お祭りにふたりで行けるなんて。でも、そう思ってしまう自分がえれなに後ろめたい。だから、わたしは余計に頑なになった。颯太くんを見ないようにして歩き続ける。
「なんでだよ。せっかく浴衣着てきたんじゃん、行こうって」
颯太くんがわたしの前に回り込んだ。必死で歩いていたわたしは勢いがとめられず、颯太くんの胸にぶつかってしまう。