えれなも颯太くんも、なんとなく不自然なのだ。

どうしていいのかわからないというか、なんだかイライラするみたいな?
やっぱり無理にでも帰ればよかった。

そう思いながらも、どうしていいかわからなくて、適当な話題をふることもできず、ただただ居心地の悪い時間が流れていった。

結局えれなとふたりで帰る道すがら、わたしは言った。

「なんか邪魔だったよね、わたし。帰ればよかったね」

でもえれなは無表情で言った。

「邪魔なのは颯太だよ。せっかく理緒とふたりで遊んでたのに」

その言葉に少しショックを受けた。やっぱり颯太くんは、夏休みでもえれなに会いたくてしょうがないのかなと思った。えれなはそれがうざったいのかな。だとしたら、つらいな。

「颯太くん、えれなに会いたいんだね、きっと」

落ち込みそうなのを取り繕って、そういうとえれなは淡々と言った。

「そんなわけないでしょ」

「でも」

「颯太の話はいいじゃん、やめよ」 

えれなは少し怒ったような顔でそう言うと、黙ってしまった。
本当は聞きたいことがたくさんあった。夏休み前のあの出来事はなんだったの? ふたりはいまどうなってるの? けれど、えれなからはぴりぴりとした空気が漂っていて、それ以上の追求を拒絶する感じがした。

なんなんだろう。けんかでもした?

えれなと颯太くん、ふたりの間にいったいなにが起きているのか、それとも何も起きていないのか、わからないままその日は終わったのだった。