戻ってみると、作業していたところにはクラスの子は誰もいなかった。

解散になったのかな、帰っていいのかなと思いながら、教室に戻ろうとすると、渡り廊下のある中庭でにぎやかな笑い声が聞こえてきた。

そっとのぞいてみると、みんなが集まっていた。コンビニに軽食を買い出しに行っていた子たちが帰ってきて、おにぎりやジュースを配ったのかみんなで食べていた。

わたしを見つけてえれながジュースを持ってきてくれた。

「理緒! どこに行ってたの? 乾杯終わっちゃったよ」

「ありがと」

なんだかすべてがどうでもよくなっていた。なんとか笑顔をつくることはできたけれど、心は重く沈んでいた。

「なんか、コンビニに花火があったんだって。だから、これからみんなでやろうって」

「へー、いいね」

「理緒もやろう」

「わたし、見てる」

とてもみんなとはしゃぐような心境じゃなかった。花火が始まったら、どさくさにまぎれて帰ろうと思った。

「えー、なんでよー、一緒にやろうよー」

と、花火の袋を開けていたチア部の子たちがえれなを呼んだ。

「えれな! どれやる?」

「ちょっと待って!」

そう言って、えれなは心配そうにわたしを見た。