「まあ、親友ならわかってるよねえ。いくらぼんやりちゃんでも」

身体中がぞわぞわした。わたしのことを言ってる?

「颯太、誰にでも優しいからね」

「罪だよねー。免疫ないタイプは、ころっといきそう」

わたしは何も聞こえてないふりで、ゴミ袋を両手に持つとその場を離れた。

多分、応援合戦の得点発表のときのことを言ってるんだろう。

あえてわたしに聞こえるかのように、言ってるのかもしれない。

ぼんやりちゃんってわたしのこと?

教室でいつもぼんやりしてるように見えるんだろうか。

あ、それとも存在がぼんやりってこと?

それならありえるかも。わたしは自嘲ぎみに笑った。
そして別に勘違いなんかしてない、と強く思った。

応援合戦のときの颯太くんの行動はうれしかったし、感激したけど、勘違いなんかするわけない。
わたしは颯太くんから、総合優勝したら好きな子に告白するんだと宣言されているのに。
颯太くんは約二ヶ月の間、衣装係としてがんばったことを認めて、ねぎらってくれただけだ。

自分のポジションくらい、わかりすぎるほどわかってる。