体育祭のあとの撤収は二年生が中心となって行われるのがならわしだ。座席やテントの撤去、飾られた万国旗を片付け、ゴミを集め、掃除をして、終わったらもう7時を過ぎていて、あたりもだいぶ暗くなっていた。
うちのクラスはゴミ集めが主な仕事だった。わたしは各場所から集められてきたゴミで、ぱんぱんになったゴミ袋をぎゅっとしばり、焼却炉のある裏口へと運んでいた。

後半の方はやることがなくなってきて、おしゃべりしたり、遊んだりしている子たちが大半になっているけど、わたしはひとりでもくもくと作業していた。

あと残りわずかのゴミ袋をまとめていると、背後からひそひそと声が聞こえた。

「すごい泣いてたよね、あのとき」

「勘違いしてなきゃいいけどね」

「しないでしょ。親友の彼氏だよ?」

「えれなと颯太ってつきあってるの?」

「表向きはまだみたいだけど、もう実はつきあってるってきいたよ」

「表向きって。芸能人みたいだね」

「ふたりとも人気者だから」