「えれなもがんばってね。見てるから」

「理緒ー、理緒ー」

えれなが抱きついてくるから、私もぎゅっと抱きしめ返す。
素直に求めてくるから、素直に返すことができる。えれなのすごいところは、わたしみたいにかたくなな人間でさえ、素直にさせるところだ。

「元気でた! 行ってくるね!」

まぶしいような笑顔を残して、えれなは走っていった。

その後ろ姿を見送りながら、颯太くんのことを思い出していた。

ここにはいないけどずっとがんばる姿を近くでみてきた人。

わたしは何もしてあげられないけど、みんな練習の成果をだせますように。

後悔のないように、最後までやりきることができますように。