大丈夫、今まであんなにがんばってきたんだもの。きっとうまくいく。
颯太くんが後悔のないよう、思いっきりやりきることができますように。
わたしは応援団のいる方向に向かって、そう念じると、自分の準備をするために教室に向かった。
 

ジャージに着替えて、グランドに出てからも、颯太くんと言葉を交わす機会は全然なかった。
応援団の一番の見せ場は午後の部一番に行われる応援合戦だけれど、普通の競技中も待機している生徒たちを仕切って声援を送る。休憩するひまもないのだ。

ずっと前にたって、声を出し続けるその姿はやはり頼もしく、凛々しく、かっこよく見えた。

正直に言うと、わたしは体育祭は好きじゃない。それに今年は衣装係としての仕事が大変で、身体も心もすでに疲れきっていて、いつも以上にぼんやりしてしまう。

でも、応援団が法被をなびかせて応援する姿を見ると、衣装係やってよかったなとじわじわ思うことができた。

颯太くんがこだわったスカイブルーのサテン地が太陽の光を受けてつやつやと輝き、応援団が飛んだりはねたりする姿がよく映えた。長めにつくったはちまきも、風にたなびいて、応援団が駈ける姿をひきたてていた。