その日の夜、自分のやることをやり終えた爽快感と、ほんの少しのやるせなさを感じながら家に帰った。
部屋に入ると、机のうえが乱雑に散らかったままになっているのが目に入る。

それは、昨夜遅くまで縫い続けた颯太くんのはちまきのための材料だった。

スパンコールが100個入った袋が三袋空いていて、残り一袋が半分ほど残っていた。300個以上のスパンコールを颯太くんのはちまきに縫い付けたことになる。

颯太くんがシルバーで刺繍してほしいと言っていたことを思い出して、急遽スパンコールを縫い付けてみたけど、思った以上に時間がかかって、この二日間はほとんど寝れなかった。でも、やりはじめたからには、最後までやらないわけにはいかなくて、わたしも意地になっていた。

明日、最後に笑う颯太くんが見たいなあと思った。