「ちょっと離れたくらいじゃ変わらないから。ねえ、あんた誰かと席交代してよ」
香奈の言葉に、遠子が「えっ」と声を上げた。
「あたしと遥はせっかく隣同士になれたから動きたくないし、あんたがどっか遠くの席に行ってくれない? 誰かに代わってもらってよ」
香奈の言葉に、遠子は戸惑ったように口をつぐんだ。ちらりとクラスを見回して、それから香奈に向き直る。
「……ごめんなさい、それはできない」
もちろん遠子は言うことを聞くだろうと思っていたのか、香奈がびっくりしたように目を丸くした。
「……は? 何、あんたに拒否権あると思ってんの?」
苛立ちを隠さない香奈に、遠子はびくりと肩を震わせたけれど、まっすぐに冷たい視線を受け止めながら口を開いた。
「あの、拒否権なんてないってことは分かってるよ。でも、他のことなら聞くけど、席替えは……くじで公平に決めてるから、私だけ交代するなんてできないよ」
「はあ? いいじゃん、いちばん後ろの席に来たいやついくらでもいるでしょ」
「でも、だから……一人だけ私と交代して後ろになったら、他の子がかわいそうだから……」
香奈の言葉に、遠子が「えっ」と声を上げた。
「あたしと遥はせっかく隣同士になれたから動きたくないし、あんたがどっか遠くの席に行ってくれない? 誰かに代わってもらってよ」
香奈の言葉に、遠子は戸惑ったように口をつぐんだ。ちらりとクラスを見回して、それから香奈に向き直る。
「……ごめんなさい、それはできない」
もちろん遠子は言うことを聞くだろうと思っていたのか、香奈がびっくりしたように目を丸くした。
「……は? 何、あんたに拒否権あると思ってんの?」
苛立ちを隠さない香奈に、遠子はびくりと肩を震わせたけれど、まっすぐに冷たい視線を受け止めながら口を開いた。
「あの、拒否権なんてないってことは分かってるよ。でも、他のことなら聞くけど、席替えは……くじで公平に決めてるから、私だけ交代するなんてできないよ」
「はあ? いいじゃん、いちばん後ろの席に来たいやついくらでもいるでしょ」
「でも、だから……一人だけ私と交代して後ろになったら、他の子がかわいそうだから……」