「はい、じゃあ、番号の確認したら移動してー」

六時間目のホームルームは、二学期最後の席替えだった。

番号くじを引いたあと、黒板に書かれた座席表と照らし合わせて新しい席を確認する。先生の号令と同時に、みんながざわざわと移動を始めた。

わたしも荷物を持って机を空にして、席を立つ。次の席は廊下から二番目の列の前から五番目。

席に向かう途中で、香奈と鉢合わせた。

「遥、何番だった?」

「十二番だよ。香奈は?」

「えっ、マジで? あたし六番。隣じゃん!」

前の黒板を振り向いて見ると、十二番は廊下側の列の前から五番目だった。

「あ、ほんとだね。隣だ、やったね」

いつも一緒に行動している友達と隣の席。当然ながらそう言うべきだと思って、やったね、と口にした。でも、本心では、少し憂鬱になってしまっている自分がいた。

だって最近は、前みたいに香奈と無邪気に話せなくなってしまった。でも、いつもわたしを気にかけてくれる大事な友達なんだから、そんなふうに思う自分は最低だ。

ため息が出そうになるのをこらえて、笑みを浮かべながら香奈と席に向かった。

席について荷物を机の横にかけているとき、隣から「うわ」という香奈の声が聞こえてきた。目を向けると、彼女は眉根を寄せて後ろを見ている。

「マジ最悪なんですけど」

冷ややかな声を向けられているのは、遠子だった。肩を縮めてうつむいて立ちすくんでいる。

どうやら、よりにもよって遠子と香奈が前後の席になったらしい。嫌な予感に胸がざわついた。