「まあ、遥はそういう子だもんね。あたしみたいに文句とか陰口ばっかり言ってる性悪とは違うか」
香奈がどこか自嘲的な口調で言ったので、わたしは慌てて「そういうわけじゃなくて」と否定した。すると菜々美がおかしそうに噴き出して、
「いや、香奈のは陰口じゃないじゃん。思いっきり本人に言っちゃってるし」
「あははっ、そっか。じゃあ、あたしはただ性格と口が悪いだけか」
からからと笑って香奈が言った。そこまであっさりと言われると、わたしも思わず笑ってしまった。
「いいもーん、自覚あるしね、めっちゃ性悪いこと言ってるって。でもさ、なんか黙ってらんないんだよね、むかつくことがあると。どっか頭がおかしいのかも」
香奈がいつになく卑屈な言い方をするので、わたしは「そんなことないよ」と首を横に振った。
「思ったこと全部言えるのって、すごいとは思うよ。普通はほら、周りの目とか気にして、言いたくても言えなかったりするじゃん」
わたしの言葉に、香奈が目をぱちぱちさせてこちらを見た。
「えー、そんなふうに言ってもらえたの初めてかも。あたし、昔からクラスの子とかに『口が悪い、怖い』ってよく言われてたし、家でも親から『口は災いのもと』って怒られてるのに。さすが遥は優しいなあ」
香奈は嬉しそうに笑って抱きついてきた。
彼女は確かに、嫌いと思う人には冷たく当たる怖い面もあるけれど、好きだと思う人にはすぐに懐いて打ち解ける素直な面もある。自分の気持ちに正直なんだと思う。外面ばかりよく見せているわたしとは正反対だ。
香奈がどこか自嘲的な口調で言ったので、わたしは慌てて「そういうわけじゃなくて」と否定した。すると菜々美がおかしそうに噴き出して、
「いや、香奈のは陰口じゃないじゃん。思いっきり本人に言っちゃってるし」
「あははっ、そっか。じゃあ、あたしはただ性格と口が悪いだけか」
からからと笑って香奈が言った。そこまであっさりと言われると、わたしも思わず笑ってしまった。
「いいもーん、自覚あるしね、めっちゃ性悪いこと言ってるって。でもさ、なんか黙ってらんないんだよね、むかつくことがあると。どっか頭がおかしいのかも」
香奈がいつになく卑屈な言い方をするので、わたしは「そんなことないよ」と首を横に振った。
「思ったこと全部言えるのって、すごいとは思うよ。普通はほら、周りの目とか気にして、言いたくても言えなかったりするじゃん」
わたしの言葉に、香奈が目をぱちぱちさせてこちらを見た。
「えー、そんなふうに言ってもらえたの初めてかも。あたし、昔からクラスの子とかに『口が悪い、怖い』ってよく言われてたし、家でも親から『口は災いのもと』って怒られてるのに。さすが遥は優しいなあ」
香奈は嬉しそうに笑って抱きついてきた。
彼女は確かに、嫌いと思う人には冷たく当たる怖い面もあるけれど、好きだと思う人にはすぐに懐いて打ち解ける素直な面もある。自分の気持ちに正直なんだと思う。外面ばかりよく見せているわたしとは正反対だ。