結局その授業中は、チャイムが鳴るまでずっとグラウンドのほうを気にしてしまったので、板書をノートに写すのが精一杯で先生の話なんてひとつも耳に入らなかった。
こんなんじゃ期末テストやばいな、と内心でため息をつきつつ教材を片付けていたとき、ふいに気がついてしまった。遠子がグラウンドのほうへ目を向けていることに。
彼女は真面目だから、たぶん授業中には外を見ていなかったと思う。もし同じ方向を見ていたら、さすがのわたしでも気がついたはずだ。
反射的に遠子の視線を追う。その眼差しはまっすぐに彼方くんへと向けられていた。
そりゃそうだよね、彼氏だもんね、見たいよね、と胸の中で嫌みったらしく思う自分がいる。そして、親友のことをそんなふうに思ってしまったことで自己嫌悪に陥る。
うつむいてペンをしまっているとき、向こうから「遥」と呼ばれた。香奈と菜々美が手招きをしている。
「トイレ行こー」
「あっ、うん」
わたしは頷いて立ち上がり、ハンカチを持って彼女たちのもとに向かう。その途中で、わたしは思わず遠子のほうへ目を向けた。
今までは、いつも遠子も含めて四人で行動していた。でも、遠子が彼方くんと付き合い初めてから、香奈たちは明らかに遠子を避けている。というより、仲間外れにしているような状態だ。
ずっと一緒にいたわたしたちと別行動になって、彼女は今どんな気持ちなんだろう。手のひらを返したように誘わなくなったのが申し訳なくて、わたしは何度も声をかけようとしたけれど、いつも遠子は避けるようにいなくなってしまう。
引っ張って連れて行ってもいいのだけれど、遠子に対して冷たい態度をとる香奈や菜々美と一緒にいなければいけなくなるのも彼女にとっては嫌だろうと思うと、わたしも積極的には追いかけられない。
こんなんじゃ期末テストやばいな、と内心でため息をつきつつ教材を片付けていたとき、ふいに気がついてしまった。遠子がグラウンドのほうへ目を向けていることに。
彼女は真面目だから、たぶん授業中には外を見ていなかったと思う。もし同じ方向を見ていたら、さすがのわたしでも気がついたはずだ。
反射的に遠子の視線を追う。その眼差しはまっすぐに彼方くんへと向けられていた。
そりゃそうだよね、彼氏だもんね、見たいよね、と胸の中で嫌みったらしく思う自分がいる。そして、親友のことをそんなふうに思ってしまったことで自己嫌悪に陥る。
うつむいてペンをしまっているとき、向こうから「遥」と呼ばれた。香奈と菜々美が手招きをしている。
「トイレ行こー」
「あっ、うん」
わたしは頷いて立ち上がり、ハンカチを持って彼女たちのもとに向かう。その途中で、わたしは思わず遠子のほうへ目を向けた。
今までは、いつも遠子も含めて四人で行動していた。でも、遠子が彼方くんと付き合い初めてから、香奈たちは明らかに遠子を避けている。というより、仲間外れにしているような状態だ。
ずっと一緒にいたわたしたちと別行動になって、彼女は今どんな気持ちなんだろう。手のひらを返したように誘わなくなったのが申し訳なくて、わたしは何度も声をかけようとしたけれど、いつも遠子は避けるようにいなくなってしまう。
引っ張って連れて行ってもいいのだけれど、遠子に対して冷たい態度をとる香奈や菜々美と一緒にいなければいけなくなるのも彼女にとっては嫌だろうと思うと、わたしも積極的には追いかけられない。