鈍い足取りで教室に戻ると、香奈と菜々美が出迎えてくれた。

「面談おつかれー、遥」
「あ、待っててくれたの?」
「もちろん!」

ありがと、と言いながら二人のところに行くと、香奈がにっこり笑って抱きついてきた。彼女はスキンシップが好きなのだ。

「遅くなってごめんね、話が長引いちゃって」

「ぜーんぜん。動画見てたからすぐだったよ。ね、菜々美」

「うん、一瞬だった」

菜々美が頬杖をついて微笑みながら頷く。

「そっか、ありがと」

とわたしは笑って、二人の隣の席に腰かけた。

華やかで明るい香奈と、さばさばした姉御肌の菜々美。彼女たちはわたしにとって、高校に入っていちばん最初にできた友達だ。

入学式の日、クラスが発表されてすぐに、もともと同じ中学校で仲が良かったという二人から話しかけられた。その時からすでに、周りの子よりも髪型や制服の着こなしが垢抜けていて、目立つ二人だった。

人見知りというほどではないけれど、初対面の人に話しかけるのはかなり勇気を振り絞らないといけないわたしにとって、彼女たちが気さくに声をかけてくれたことはとてもありがたかった。

その日のうちに連絡先を交換して、次の日には誘われて三人で遊びに行った。

そのあとしばらくして、もう一人わたしの幼馴染が加わって、いつも四人で行動している。……今は少し、微妙な状態になっているけれど。