「じゃあ、また来週あたり呼ぶからな。それまでに本気でしっかり考えて、次こそちゃんとやりたいこと見つけてこいよ」

いくら考えたってきっと無理、と思いつつも、口では「分かりました」と返事して、頭を下げた。

進路室を出てドアを閉めた途端、どっと疲れがきた。窓ガラス越しに外気が忍び込んでくる廊下は、室内に比べてかなり寒くて、ぶるっと背中が震えた。

ふうっと大きなため息をついて、目を閉じてうつむき、乱された気持ちが落ち着くのを待つ。

でも、向こうから足音が聞こえてきて、慌てて顔を上げた。こんな姿、見られるわけにはいかない。わたしはぺちんと自分の頬を叩いて、気合いを入れた。

教室棟に向かって歩きながら、頭の中ではずっと先生の言葉がぐるぐる回っている。

やりたいことを見つけて、進路を決める。小学校でも中学校でも言われてきた、当たり前のことだ。そしてみんな当然のようにできていること。

それなのに、わたしはどうしてもうまくできない。