「――天音!」
表に出て呼ぶと、彼はぱっと振り向いて驚いたように目を丸くした。
立ち止まった天音は、かすかに唇を震わせる。はるか、という形に動いたように見えた。もしかして覚えていてくれたんだろうか。
「あの、ごめんね急に……分かる? この前、そこの公園で会った……」
わたしが公園のほうを指差しながら言うと、彼は目を細めてこくりと頷いた。
「よかった。急に呼び止めちゃってごめんね、びっくりしたでしょ。あの、会いたいなと思ってたから、嬉しくて……」
そう口に出してから、会いたかったとか嬉しいとか言ってしまったことが恥ずかしくなる。
引かれてしまったかなと不安に思って窺い見ると、天音はポケットの中から小さなノートとペンを取り出した。
ページを開いて、何かを書き込む。
そして、書いたものをこちらに見せてきた。
『僕も』
嬉しくなって、わたしは彼に微笑んだ。
そのとき、背後で扉の開く音がして、あかりさんが顔を出した。
「遥ちゃん、お友達?」
「あっ、はい、友達っていうか……あの、まだ一回しか会ってないんですけど」
「そうなの。こんばんは」
彼女が天音に向かって笑いかける。
彼はにっこり笑って会釈をした。
「ねえ、よかったらあなたも入らない? せっかくのご縁だから、ちょっと話していったら?」
あかりさんの言葉に、天音はまた微笑んで頷いた。
表に出て呼ぶと、彼はぱっと振り向いて驚いたように目を丸くした。
立ち止まった天音は、かすかに唇を震わせる。はるか、という形に動いたように見えた。もしかして覚えていてくれたんだろうか。
「あの、ごめんね急に……分かる? この前、そこの公園で会った……」
わたしが公園のほうを指差しながら言うと、彼は目を細めてこくりと頷いた。
「よかった。急に呼び止めちゃってごめんね、びっくりしたでしょ。あの、会いたいなと思ってたから、嬉しくて……」
そう口に出してから、会いたかったとか嬉しいとか言ってしまったことが恥ずかしくなる。
引かれてしまったかなと不安に思って窺い見ると、天音はポケットの中から小さなノートとペンを取り出した。
ページを開いて、何かを書き込む。
そして、書いたものをこちらに見せてきた。
『僕も』
嬉しくなって、わたしは彼に微笑んだ。
そのとき、背後で扉の開く音がして、あかりさんが顔を出した。
「遥ちゃん、お友達?」
「あっ、はい、友達っていうか……あの、まだ一回しか会ってないんですけど」
「そうなの。こんばんは」
彼女が天音に向かって笑いかける。
彼はにっこり笑って会釈をした。
「ねえ、よかったらあなたも入らない? せっかくのご縁だから、ちょっと話していったら?」
あかりさんの言葉に、天音はまた微笑んで頷いた。