「遥ちゃんはまだ学生さんなんだから、堂々と大人にご馳走してもらっていいの。それでも気になるなら、大人になって自分でお金を稼げるようになったら、またお店に来てくれたら嬉しいわ。そのときはしっかりお代金いただくけどね」

いたずらっぽく笑ったあかりさんに、笑顔で「ありがとうございます」と答えつつも、『自分でお金を稼げるようになったら』という言葉がちくりと胸に刺さった。

わたしは自分で稼いだわけでもないお金を、もう子供じゃないからなどと言って偉そうに払おうとしていたのだ、と気づいて恥ずかしかった。

そして、親に対して不満をもったりしているくせに、結局は親からもらったお小遣いで友達と遊びに回っている。

それに、自分の進路さえ決められていなくて、大人になったってお金が稼げるかも分からない。

自分の情けなさに嫌気が差した。

「ありがとうございます、お言葉に甘えて、いただきます」

わたしはあかりさんに頭を下げて、ストローの袋を開けた。

コルクのコースターに置かれたクリームソーダ。

目の覚めるような緑色のメロンソーダと、淡く黄色がかった白いバニラアイスと、鮮やかな赤のさくらんぼ。

あの頃と変わらない色合いの懐かしさに、少し泣きそうになる。