懐かしさのあまり、吸い寄せられるように店の窓から中を覗きこむ。
見ると、記憶の通りの落ち着いた雰囲気の店内には、まだ何人かのお客さんがいた。
カウンターの中には四十代くらいの女性がいて、丁寧な手つきでコーヒーを淹れている。
その顔にも見覚えがあった。
わたしたちが行くと、いつも笑顔で出迎えてくれて、『お子様には特別サービスよ』と言ってクリームソーダをおまけしてくれた。
だから、わたしとお兄ちゃんは、失礼ながら彼女のことを『クリームソーダのおばさん』と呼んでいた。
今思えば多分まだ三十代か二十代後半くらいだっただろうから、ほんと失礼だったなあ、と思わず笑みを洩らしていたら、ふいに彼女がこちらを見た。
目が合って、窓から覗いていた気まずさで反射的に視線を逸らしてしまいそうになったけれど、なんとか耐えて会釈をする。
すると、彼女が驚いた顔をしてから、にっこりと笑って手招きをしてくれた。
もしかして覚えてくれているのだろうか。でも、十年も前のことだし、まだ子どもだったからさすがに分からないだろう。
そう思って戸惑っていると、彼女はカウンターを出て出入り口のドアを開け、ひょっこりと顔を覗かせた。
見ると、記憶の通りの落ち着いた雰囲気の店内には、まだ何人かのお客さんがいた。
カウンターの中には四十代くらいの女性がいて、丁寧な手つきでコーヒーを淹れている。
その顔にも見覚えがあった。
わたしたちが行くと、いつも笑顔で出迎えてくれて、『お子様には特別サービスよ』と言ってクリームソーダをおまけしてくれた。
だから、わたしとお兄ちゃんは、失礼ながら彼女のことを『クリームソーダのおばさん』と呼んでいた。
今思えば多分まだ三十代か二十代後半くらいだっただろうから、ほんと失礼だったなあ、と思わず笑みを洩らしていたら、ふいに彼女がこちらを見た。
目が合って、窓から覗いていた気まずさで反射的に視線を逸らしてしまいそうになったけれど、なんとか耐えて会釈をする。
すると、彼女が驚いた顔をしてから、にっこりと笑って手招きをしてくれた。
もしかして覚えてくれているのだろうか。でも、十年も前のことだし、まだ子どもだったからさすがに分からないだろう。
そう思って戸惑っていると、彼女はカウンターを出て出入り口のドアを開け、ひょっこりと顔を覗かせた。