途中でスマホが鳴って、のろのろと取り出して見てみると、お母さんからのメッセージだった。

『一体いつ帰ってくるの? 勉強もしないでカラオケなんて、いいご身分ね』

棘のある言葉が、胸に突き刺さった。

お昼に、『帰りに友達とカラオケに行くから少し遅くなる』とラインを送っていて、そのまま追試のことを伝え忘れていた。

だから、こんな夜遅くまで遊んでいると思われてしまったのだ。

連絡不足だった自分が悪いとはいえ、嫌味な言い回しに苛立ってしまう。

お母さんはとても忙しい人で、化粧品店の店長としての仕事と、たくさんの習い事でいつも飛び回っている。

寸暇を惜しんで家事をしているので、家族の帰りが遅くなって洗い物ができなかったりすると、すごく機嫌が悪くなる。

忙しいのは分かるけれど、お父さんの収入で充分足りているのに『好きな仕事だからやめたくない』と言って自分の楽しみのために続けていて、習い事だって全部趣味でやっているんだから、忙しさは自業自得だ。

それなのに、そのイライラを家族にぶつけるなんて、自分勝手だと思う。

でも、そんなことを言ったら逆上しそうだから、言わない。