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「ねえ遥、今日カラオケ行かない?」
昼休み、弁当を鞄から取り出していると、香奈から声をかけられた。
正直、あまりそういう気分にはなれない。
でも、断ったら変に思われるし、付き合いが悪いと思われてこれから誘ってもらえなくなるかもしれない。
迷っていることなど顔色には出さずに、ほんの短い時間で考えを巡らせる。
答えようと口を開いたとき、香奈がちらりと横に目を向けた。
反射的にその視線を追うと、弁当の包みを胸に抱えて教室を出ようとしていた遠子が、こちらを見ていた。
「ちょっと、なに見てんの。遠子は誘ってないんだけど」
香奈が眉をあげて言った。
遠子は困ったように少しうつむいて、小さく答える。
「ごめん……たまたま見てただけなんだけど、気を悪くしたなら、ごめんなさい」
そう言って、彼女は逃げるように教室を出て行った。
香奈は小さく息をついて、「ごはん食べよ」とわたしの前に座った。
菜々美も弁当を持ってきてわたしの隣に座り、三人で昼食をとる。
「ねえ遥、今日カラオケ行かない?」
昼休み、弁当を鞄から取り出していると、香奈から声をかけられた。
正直、あまりそういう気分にはなれない。
でも、断ったら変に思われるし、付き合いが悪いと思われてこれから誘ってもらえなくなるかもしれない。
迷っていることなど顔色には出さずに、ほんの短い時間で考えを巡らせる。
答えようと口を開いたとき、香奈がちらりと横に目を向けた。
反射的にその視線を追うと、弁当の包みを胸に抱えて教室を出ようとしていた遠子が、こちらを見ていた。
「ちょっと、なに見てんの。遠子は誘ってないんだけど」
香奈が眉をあげて言った。
遠子は困ったように少しうつむいて、小さく答える。
「ごめん……たまたま見てただけなんだけど、気を悪くしたなら、ごめんなさい」
そう言って、彼女は逃げるように教室を出て行った。
香奈は小さく息をついて、「ごはん食べよ」とわたしの前に座った。
菜々美も弁当を持ってきてわたしの隣に座り、三人で昼食をとる。