学校から離れると、やっとのことで強張っていた身体が緩んでいく気がした。

最近、香奈や菜々美と一緒にいるのが息苦しいと感じることがある。二人とも明るくて会話をするのは楽しいけれど、さっきみたいに遠子の話がからんでくると、わたしはどんな顔をしていいのか分からなくなってしまうのだ。

ふうっと息を吐くと、白い靄が唇から立ちのぼった。

マフラーをきつく巻き直す。

今日は特に寒さが厳しい。いつの間にか、すっかり冬だ。もう高校一年生も終わりに近づいているんだな、と少し切なく思った。

駅までの一本道を、石畳を踏みしめるようにゆっくりと歩く。

寒いから早く電車に乗りたいけれど、今日は家に帰ったらお母さんに進路面談の話をしないといけないと思うと、足が鉛のように重かった。

それでも、十分もしないうちに駅に着いてしまう。

ため息をこらえながら地下へとつながる階段を降りて、改札を通ってホームに並んだ。