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駅から喫茶あかりへと歩く道の途中、洋菓子店の前でサンタクロースの服を着た女の人がケーキを売っていた。
今日はクリスマスイブだ。
空は青く晴れていて、残念なことにホワイトクリスマスにはなりそうにないけれど、昼間でも息が凍るくらいに寒かった。
冷たくなった指先に息を吐きかけながら歩く。
手袋を持ってくればよかった、と今さらながらに後悔する。昨日の夜からずっと緊張していたせいで、手袋のことをすっかり忘れてしまっていたのだ。
こんなに冷えてしまったら、思うように動いてくれないかもしれない。
せっかくあんなに練習したのに、失敗したらどうしよう。
足下から、寒さのせいではない震えが立ち昇ってくる。
でも、次の瞬間、ふいに天音の笑顔がぱっと頭に浮かんで、温かい陽射しに照らされたように震えが止まった。
失敗したっていい、と自分に言い聞かせる。失敗して、みっともない姿を見られたって、別に死ぬわけじゃないんだから。
これまでわたしは、人前で失敗することや情けない姿を見せることを極度に避けてきた。失敗しそうなことは最初からやらないようにして生きてきた。
でも、そんな自分を変えたいと思ったのだ。
わたしは、過去の自分から変わるために挑戦する。
駅から喫茶あかりへと歩く道の途中、洋菓子店の前でサンタクロースの服を着た女の人がケーキを売っていた。
今日はクリスマスイブだ。
空は青く晴れていて、残念なことにホワイトクリスマスにはなりそうにないけれど、昼間でも息が凍るくらいに寒かった。
冷たくなった指先に息を吐きかけながら歩く。
手袋を持ってくればよかった、と今さらながらに後悔する。昨日の夜からずっと緊張していたせいで、手袋のことをすっかり忘れてしまっていたのだ。
こんなに冷えてしまったら、思うように動いてくれないかもしれない。
せっかくあんなに練習したのに、失敗したらどうしよう。
足下から、寒さのせいではない震えが立ち昇ってくる。
でも、次の瞬間、ふいに天音の笑顔がぱっと頭に浮かんで、温かい陽射しに照らされたように震えが止まった。
失敗したっていい、と自分に言い聞かせる。失敗して、みっともない姿を見られたって、別に死ぬわけじゃないんだから。
これまでわたしは、人前で失敗することや情けない姿を見せることを極度に避けてきた。失敗しそうなことは最初からやらないようにして生きてきた。
でも、そんな自分を変えたいと思ったのだ。
わたしは、過去の自分から変わるために挑戦する。