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僕の家族は、父さんと母さんと、二歳下の弟の翔希。みんな純日本人で、髪の色も目の色も黒。

僕だけが、変な色の髪と目をしてる。

それは、僕の本当の父親が、母さんが父さんと結婚する前に付き合ってた外国人だから、らしい。母さんは今も父親について詳しいことは教えてくれない。

普通のハーフの人は、こんなに色素が薄いことはないみたいだけど、僕は隔世遺伝なのか、父親のほうの血が普通より強く出たのか、小さい頃からすごく外国人みたいな見た目だった。

幼稚園までは、母さんと僕の二人で暮らしてて、僕はなんの不満も不安もなく平和に生活してた。

小学校に入る前に、母さんが再婚した。父さんは、前の奥さんとの間に生まれた翔希を連れてきて、四人家族になった。

父さんは明るくて面白い人だったし、翔希も俺に懐いてくれて、すぐに仲良くなった。家がにぎやかになってすごく嬉しかったのを覚えてる。

でも、僕が三年生になって翔希が小学校に入ってきたとき、ある友達が僕のことをおかしいと言い出した。

『弟は日本人なのに、天音はガイジンだ。おかしい。捨て子なんだろ』

僕はそれまで、自分の見た目が周りと違うことをそれほど気にしてなかった。

まだ子どもだったし、よく分かってなかったんだと思う。

でも、そのころから、友達にガイジン、捨て子ってからかわれるようになって、自分はみんなと違って変なんだと分かるようになった。

だから、家族みんなで出かけるのが嫌だと思うようになった。僕だけが違うから。

翔希とふたりで遊ぶのが嫌になった。兄弟なのに僕と似てないから。それまではいつも、どこに遊びに行くにも翔希を連れていってたのに。