「お母さんは仕事があって忙しいって分かってるでしょうに、あんたはどうしてそう面倒をかけてくるのかしらね。少しはお母さんの身にもなってよ」

「……ごめんなさい。自分で考えて決めるから……」

「そんなこと言って、またどうせ決められないんでしょ? そしたらお母さんまで先生に呆れられちゃうじゃないの。しょうがないから一緒に考えてあげるわよ」

お母さんは心底呆れた顔つきで言った。

苛立ちを隠しきれない眼差しに、身体が固くなる。わたしはうつむいて、次々と飛んでくる矢のような言葉に耐えた。

「全く、どうして自分のことも自分で決められないんだか……そんなふうに育てたつもりはないんだけどね。どこで間違っちゃったのかしら。困ったわね、はあ……」

これみよがしに大きなため息が聞こえてきて、ぐさりと胸に突き刺さった。

わたしだって自分で決めたい。でも、どうやったら決められるか分からないのだ。

みんなが当たり前のようにできていることをできないわたしは、とんでもない欠陥品なんだろう。お母さんだってそう思っている、そういう顔をしている。

こんなんなら、わたしここにいる意味ないな。そう思った。

わたしは決してお母さんの期待には応えられないし、お兄ちゃんさえいればお母さんは満足だろう。むしろいないほうが仕事の邪魔をされずにすんで清々するに違いない。

わたしは存在価値も存在意義とない。本当に生きている意味ない。