*
ところが、プレゼント探しは難航した。
何か欲しいものある? と訊ねても天音は首を傾げるだけで、逆にわたしも訊ね返されたけれど何も思いつかない。
仕方がないので、ショッピングモールの中をぶらぶらしながら、何かいいものがあったらそれにしよう、ということになったのだけれど、一周しても二人とも何も見つからなかった。
わたしは一応、雑貨屋や服屋さんで、何かよさそうな小物はないかと見ていたけれど、あまり引かれるものがなかったのだ。でも天音のほうは、にこにこしながらわたしに付き合っているだけで、自分の欲しいものを熱心に探すつもりはなさそうだった。
その様子を見ていてわたしは、たぶん天音は物欲がないんだろうな、と悟った。彼が着ている服も身につけている鞄やベルトも、どれもとてもシンプルで、何年も着ているものに見えた。流行にのった新しいものが欲しい、という考えはちっとも持っていなさそうだ。
それでわたしは、「映画でも見ようか」と提案することにした。天音がぱちりと瞬きをしてわたしを見下ろす。
「なんか、無理して欲しいもの探すのも変な感じだし。それなら、わたしは天音の分の、天音はわたしの分のチケット買って、一緒に観るのはどう?」
天音はにっこり笑って、大きく頷いた。
ちょうど面白そうだなと思っていた映画があったので、映画館に行って「これはどう?」と天音に訊ねると、ポスターをじっと見てから頷いてくれた。
ところが、プレゼント探しは難航した。
何か欲しいものある? と訊ねても天音は首を傾げるだけで、逆にわたしも訊ね返されたけれど何も思いつかない。
仕方がないので、ショッピングモールの中をぶらぶらしながら、何かいいものがあったらそれにしよう、ということになったのだけれど、一周しても二人とも何も見つからなかった。
わたしは一応、雑貨屋や服屋さんで、何かよさそうな小物はないかと見ていたけれど、あまり引かれるものがなかったのだ。でも天音のほうは、にこにこしながらわたしに付き合っているだけで、自分の欲しいものを熱心に探すつもりはなさそうだった。
その様子を見ていてわたしは、たぶん天音は物欲がないんだろうな、と悟った。彼が着ている服も身につけている鞄やベルトも、どれもとてもシンプルで、何年も着ているものに見えた。流行にのった新しいものが欲しい、という考えはちっとも持っていなさそうだ。
それでわたしは、「映画でも見ようか」と提案することにした。天音がぱちりと瞬きをしてわたしを見下ろす。
「なんか、無理して欲しいもの探すのも変な感じだし。それなら、わたしは天音の分の、天音はわたしの分のチケット買って、一緒に観るのはどう?」
天音はにっこり笑って、大きく頷いた。
ちょうど面白そうだなと思っていた映画があったので、映画館に行って「これはどう?」と天音に訊ねると、ポスターをじっと見てから頷いてくれた。