大通り沿いの並木道を歩いていたとき、前のほうに一眼レフのカメラを持った男の人と、書類のようなものの束を持った女の人がいるのを見つけた。行き交う人々を真剣な目で見ている。
何してるんだろう、と思いながら横を通りすぎようとすると、ぱっとこちらを見た女の人が、急に駆け寄ってきた。
「あのっ、君、ちょっと待って!」
わたしと天音は反射的に立ち止まった。
カメラを持った男の人も隣にやってくる。
「急に呼び止めちゃってごめんなさいね。私たち、こういう者なんだけど」
彼女はわたしたちに名刺を差し出した。天音が戸惑ったような顔をしているので、とりあえずわたしが受け取ってみる。そこには、十代の女子に人気の雑誌の名前が書かれていた。
「この雑誌、知ってる?」
彼女がにこにこ笑いながらわたしに話しかけてきた。
「あ、名前だけは。すみません、読んだことはないんですけど」
「ううん、いいのよ気にしないで。ねえ、あなた、この子の彼女さん?」
女の人は、天音を指差して首を傾げながら訊ねてきた。
「いえ、友達です」
「あら、そうなの? とってもお似合いだったから、てっきりカップルかと思ったわ」
「あ、いえ……」
どう答えればいいか分からなくて、もごもごと答えた。ちらりと見上げると、天音も困ったような顔をしている。
「あのね、私たち今、雑誌にのせる写真を撮ってるところなの」
天音に向かって話しているけれど、彼はもちろん答えられないので、わたしが「そうなんですか」と適当に相づちをうつ。
「街で見つけた素敵な男の子とかカップルを撮らせてもらって、簡単に紹介するっていうコーナーなんだけど」
「へえ、そうなんですか……」
なんだか嫌な予感がしてきた。
何してるんだろう、と思いながら横を通りすぎようとすると、ぱっとこちらを見た女の人が、急に駆け寄ってきた。
「あのっ、君、ちょっと待って!」
わたしと天音は反射的に立ち止まった。
カメラを持った男の人も隣にやってくる。
「急に呼び止めちゃってごめんなさいね。私たち、こういう者なんだけど」
彼女はわたしたちに名刺を差し出した。天音が戸惑ったような顔をしているので、とりあえずわたしが受け取ってみる。そこには、十代の女子に人気の雑誌の名前が書かれていた。
「この雑誌、知ってる?」
彼女がにこにこ笑いながらわたしに話しかけてきた。
「あ、名前だけは。すみません、読んだことはないんですけど」
「ううん、いいのよ気にしないで。ねえ、あなた、この子の彼女さん?」
女の人は、天音を指差して首を傾げながら訊ねてきた。
「いえ、友達です」
「あら、そうなの? とってもお似合いだったから、てっきりカップルかと思ったわ」
「あ、いえ……」
どう答えればいいか分からなくて、もごもごと答えた。ちらりと見上げると、天音も困ったような顔をしている。
「あのね、私たち今、雑誌にのせる写真を撮ってるところなの」
天音に向かって話しているけれど、彼はもちろん答えられないので、わたしが「そうなんですか」と適当に相づちをうつ。
「街で見つけた素敵な男の子とかカップルを撮らせてもらって、簡単に紹介するっていうコーナーなんだけど」
「へえ、そうなんですか……」
なんだか嫌な予感がしてきた。