「なんか、よくない雰囲気になってるなっていうのは前から分かってたんだけど、『俺で力になれることがあったらなんでもするよ』って言ったら、遠子が『女子同士の問題に男子は口出さないで、もっと大事になっちゃうから』って頑なに拒否してさ。ただ見てるだけ、気を揉んでるしかなくて、俺もすげーきつかったんだ……」
彼方くんがふうっと息を吐き出した。ずっと心に刺さっていた棘がやっと抜けた、というの感じだった。
「さっき、クラスのやつから、遠子と遥ちゃんたちが『ただならぬ雰囲気で四人で空き教室のほう行ったぞ』とか言うから、もう気が気じゃなくて。で、三組見に行ったら、遠子が二人と飯食っててさ、え!?ってなって、でもその輪に入るのもなって気が引けて聞けなくて。そしたら遥ちゃん見つけたから、慌てて呼び止めちゃった。ごめんな、突然」
「いやいや、全然。こっちこそ遠子に嫌な思いさせててごめん。わたしがちゃんと言うべきこと言わずに黙ってたのが悪いんだ。今日、勇気出してみんなに話してみたら、すぐ分かってもらえて、よかった」
そっか、と彼方くんが頷く。それからにっこりと笑って言った。
「ありがとな、遠子のこと助けてくれて」
ちくりと痛んだ胸には、気づかないふりをする。
「そんないいもんじゃないよ……。それに、正直、遠子のためっていうよりは、自分のためだし。自分の気が軽くなるように、罪悪感が減るようにしたかっただけ」
目を丸くした彼方くんは、次にはふっと微笑んだ。
「遥ちゃん、やっぱりいい子だな。遠子が言ってた通りだ」
その言葉に、思わず吹き出してしまった。彼方くんが「えっ?」と首を傾げる。
彼方くんがふうっと息を吐き出した。ずっと心に刺さっていた棘がやっと抜けた、というの感じだった。
「さっき、クラスのやつから、遠子と遥ちゃんたちが『ただならぬ雰囲気で四人で空き教室のほう行ったぞ』とか言うから、もう気が気じゃなくて。で、三組見に行ったら、遠子が二人と飯食っててさ、え!?ってなって、でもその輪に入るのもなって気が引けて聞けなくて。そしたら遥ちゃん見つけたから、慌てて呼び止めちゃった。ごめんな、突然」
「いやいや、全然。こっちこそ遠子に嫌な思いさせててごめん。わたしがちゃんと言うべきこと言わずに黙ってたのが悪いんだ。今日、勇気出してみんなに話してみたら、すぐ分かってもらえて、よかった」
そっか、と彼方くんが頷く。それからにっこりと笑って言った。
「ありがとな、遠子のこと助けてくれて」
ちくりと痛んだ胸には、気づかないふりをする。
「そんないいもんじゃないよ……。それに、正直、遠子のためっていうよりは、自分のためだし。自分の気が軽くなるように、罪悪感が減るようにしたかっただけ」
目を丸くした彼方くんは、次にはふっと微笑んだ。
「遥ちゃん、やっぱりいい子だな。遠子が言ってた通りだ」
その言葉に、思わず吹き出してしまった。彼方くんが「えっ?」と首を傾げる。