「遠子と彼方くんが仲良くしゃべってたり、手つないで歩いてるのとか見たら、それはもちろんちょっと嫉妬しちゃうけど、そんなのカレカノ持ちの人好きになっちゃった子はみんな一緒でしょ。片想いしてる限り、わたしだってそれに耐えなきゃいけないのは当たり前だよ。だから、きっと今ごろ遥は嫉妬心に燃えてるんだなーと思いながらいちゃいちゃしてよ」

遠子は、びっくりしすぎて声も出せない、という顔をしていた。

「彼方くんのこと好きだけど、遠子のことだって大好きだから、遠子がわたしに気つかって申し訳ない思いしながら付き合ってるの、わたしも悲しくなる。だから、これはもう仕方ないことって受け入れるしかないよね。同じ人好きになっちゃったんだもん、しょうがない」

勢いに任せて、一息に言いきった。

「……遥、かっこいい」

遠子が感嘆したように言ったので、おかしくなってわたしは噴き出した。

「ありがと。これからは、かっこいい女目指すことにする」

「可愛くて優しくてかっこいいとか、最強だね」

彼女は昔から、やけにわたしのことを美化してくれている。わたしより可愛い子も優しい子もいくらでもいるのに、なんだかくすぐったい。

「遠子の期待に恥じない人になれるようにがんばる」

照れくささをこらえながら言うと、遠子は「もう十分だけど、応援する」と笑ってくれた。