でもきっと、この話をしないと、本当の意味で遠子と前みたいに接することはできない。

「正直ね、まだ……好きだよ。思わず目で追っちゃうし、ちょっと話せると嬉しいとか思っちゃう。……ごめん」

遠子がまた首を横に振った。

「それは謝ることじゃないし、私に断らないといけないことでもないよ」

そう言ってから、彼女はうつむいた。

「……私がこんなこと言うのもおかしいし、失礼だって思うけど……遥がいちばんつらいよね」

つらいね、と遠子は繰り返した。

彼方くんと付き合う前、わたしと同じ人を好きになってしまったと思った遠子は、諦めようとして思いを必死に我慢してくれていた。だから彼女は、自分から恋を諦めなくてはならない気持ちを、とてもよく知っている。

心優しい遠子は、きっと今、わたしの気持ちを思いやって苦しんでいる。

それが分かったから、わたしは彼女にがばっと抱きついた。遠子が驚いたように声をあげる。

「遠子までそんな顔しないで。せっかく大好きな彼方くんと付き合ってるんだから、わたしに遠慮なんかしないで、堂々といちゃいちゃしてよ。隠れてこそこそされるほうが、なんか申し訳なくなっちゃって気に障るから!」

ずっと秘めていた思いをぶつけた。