ジュースの自販機に向かう途中、何気なく目線を投げた廊下の先に、大きなスポーツバッグを肩にかけて歩くすらりとした背中を見つけた。
途端に、どきっと心臓が跳ねる。
彼方くんだ、と心の中で呟いた。
数えきれないほどに見つめてきたその横顔と、後ろ姿。わたしはいつだってどこだって無意識のうちに彼の姿を探してしまうし、見つけた瞬間に抑えようもなく胸が高鳴ってしまう。
瞬きも忘れて見つめているうちに、彼は廊下の角を曲がっていった。その先にあるのは生徒玄関だ。
自販機に行くためには、彼の後を追う形になってしまう。
気が重くなったけれど、どうしようかと迷っているうちに香奈たちがどんどん先に進んでしまって、わたしは仕方なく後に続いた。
角を曲がると、そこにはやっぱり彼方くんの姿があった。
他にも何人かの生徒がいたけれど、わたしの目はすぐに彼に吸い寄せられる。
靴を履き替えている横顔を見ないように、わたしは意識して目を逸らした。
一秒でも早くこの場を去りたくて、うつむいて早足に玄関へと向かう。
その時、菜々美が「あっ」と声をあげた。
反射的に顔を上げて、思わずその視線を追ってしまう。
「彼方くんがいる」
菜々美が小さく言った。
途端に、どきっと心臓が跳ねる。
彼方くんだ、と心の中で呟いた。
数えきれないほどに見つめてきたその横顔と、後ろ姿。わたしはいつだってどこだって無意識のうちに彼の姿を探してしまうし、見つけた瞬間に抑えようもなく胸が高鳴ってしまう。
瞬きも忘れて見つめているうちに、彼は廊下の角を曲がっていった。その先にあるのは生徒玄関だ。
自販機に行くためには、彼の後を追う形になってしまう。
気が重くなったけれど、どうしようかと迷っているうちに香奈たちがどんどん先に進んでしまって、わたしは仕方なく後に続いた。
角を曲がると、そこにはやっぱり彼方くんの姿があった。
他にも何人かの生徒がいたけれど、わたしの目はすぐに彼に吸い寄せられる。
靴を履き替えている横顔を見ないように、わたしは意識して目を逸らした。
一秒でも早くこの場を去りたくて、うつむいて早足に玄関へと向かう。
その時、菜々美が「あっ」と声をあげた。
反射的に顔を上げて、思わずその視線を追ってしまう。
「彼方くんがいる」
菜々美が小さく言った。