なにが起こったのか理解できず、呆然と立ちすくんでいたら、玄関のチャイムが鳴った。
「郁実?」
靖人だとわかった瞬間、玄関に向かって走った。
「お前、ひとりなら鍵かけろよ、これ、母方のじっちゃんが…」
なにかの入ったビニール袋を差し出していた靖人が、私を見てぎょっと言葉を切った。
すごい形相だったんだろう。
「なんだ、どうした」
「け、携帯、落としちゃった…洗濯機に」
「洗濯機? 水が入ってたってことか?」
「水っていうか、うん、み、水」
「で、拾ってないのか」
あっ、そうだ、すぐ拾わなきゃいけなかったんだ。
泣きそうになって震えていると、靖人が荷物を放り出し、蹴とばすように靴を脱いで廊下を走り、洗濯機のある脱衣所に駆け込んだ。
追いついたときには、洗濯槽の中に右手を突っ込んでいて、私は青くなった。
「や…靖人! それ洗剤じゃないよ、漂白剤なの」
「大丈夫だろ、すぐ洗えば。あ、あった」
完全に沈黙した携帯をぽいと投げてよこし、浴室に入ってシャワーの水を腕にかける。
「それも洗っといたほうがいいぞ、たぶん」
「うっ、うん」
袖も浸かってしまったTシャツを脱ぎながら、そう指示をくれたので、すぐに水道でざっと洗い流し、タオルで拭いた。
乾かせば復活するって読んだことはあるけれど…漂白剤液に、一瞬どころじゃなく沈んでいた場合は、果たしてどうなんだろう。
「あ、おい、電源入れるなよ」
「ダメなの?」
「ダメ。俺、前にそれでショートして死んだ」
「水没させたことあるんだ」
「大雨の日にポケットの中で水浸しになってた」
右半身を拭きつつ靖人が上がってくる。
一緒にリビングに行き、たたんでおいた兄のTシャツを渡して着てもらった。
靖人が調べてくれた通り、電池パックとかカードの差し込み口とか、外せるところは全部外して、タオルで水分を拭きとっていく。
「郁実?」
靖人だとわかった瞬間、玄関に向かって走った。
「お前、ひとりなら鍵かけろよ、これ、母方のじっちゃんが…」
なにかの入ったビニール袋を差し出していた靖人が、私を見てぎょっと言葉を切った。
すごい形相だったんだろう。
「なんだ、どうした」
「け、携帯、落としちゃった…洗濯機に」
「洗濯機? 水が入ってたってことか?」
「水っていうか、うん、み、水」
「で、拾ってないのか」
あっ、そうだ、すぐ拾わなきゃいけなかったんだ。
泣きそうになって震えていると、靖人が荷物を放り出し、蹴とばすように靴を脱いで廊下を走り、洗濯機のある脱衣所に駆け込んだ。
追いついたときには、洗濯槽の中に右手を突っ込んでいて、私は青くなった。
「や…靖人! それ洗剤じゃないよ、漂白剤なの」
「大丈夫だろ、すぐ洗えば。あ、あった」
完全に沈黙した携帯をぽいと投げてよこし、浴室に入ってシャワーの水を腕にかける。
「それも洗っといたほうがいいぞ、たぶん」
「うっ、うん」
袖も浸かってしまったTシャツを脱ぎながら、そう指示をくれたので、すぐに水道でざっと洗い流し、タオルで拭いた。
乾かせば復活するって読んだことはあるけれど…漂白剤液に、一瞬どころじゃなく沈んでいた場合は、果たしてどうなんだろう。
「あ、おい、電源入れるなよ」
「ダメなの?」
「ダメ。俺、前にそれでショートして死んだ」
「水没させたことあるんだ」
「大雨の日にポケットの中で水浸しになってた」
右半身を拭きつつ靖人が上がってくる。
一緒にリビングに行き、たたんでおいた兄のTシャツを渡して着てもらった。
靖人が調べてくれた通り、電池パックとかカードの差し込み口とか、外せるところは全部外して、タオルで水分を拭きとっていく。