「誰だって好きでしょ、制服は」

「まあ、男のロマンだよな」



ふたりの会話は続く。



「言っときますけど俺は、制服が好きなだけであって女子高生が好きなわけじゃないですからね」

「それ、いばるほど違うの?」

「違いますよ。後者だったらただの犯罪者予備軍でしょ」

「俺からすると、成人した子に制服着せて喜んでる奴とかも同類なんだけど」

「俺は着せてません」



丼やれんげの汚れを落とし、食洗機に並べてスイッチを入れた。



「すみません、焼き餃子も」

「はあい」



追加注文用の伝票を書いて、カウンターに置く。

無意識のうちに、お客さんの話を聞かないようにしている自分に気がついた。

犯罪者予備軍、か。



家に帰っても、なにをする気にもならず、一応自室で机に向かってみたものの、すぐにノートを閉じた。

一階に下りて冷蔵庫をのぞく。


そうだ、常備菜を更新しよう。

野菜室の野菜も使いきってしまおうと、全部出す。

病気がちだった母は、早くに自分がいなくなる可能性を考えていたんだろう、幼い頃から私と兄に、家のことをやらせた。


3品作ったところでさすがにくたびれたので、次はちょっと時間をかけて煮込むものにしようと決めた。

オリーブオイルにほんの少しのニンニクを入れて熱して、香りが立ったところで野菜を炒める。

コンソメとトマトソースと調味料を加えたところで、リビングに置いてある携帯が震えていることに気がついた。

火加減を調節して、急いでテーブルの上を見る。

健吾くんだった。



【早く帰れることになった。ちょっと来る?】



うわ!

行くよ、行く行く!