「身体つきからすると、短距離かな」

「でもほら、跳んだり投げたりしてた可能性も」

「投てきはないだろ、この細さで」



そういうもの?

でもハイジャンとかやっていたとしたらかっこいいな。

今度訊いてみよう。



「陸上部かあ…」

「ね、チャラくないでしょ?」

「うーん…」



これがわが校の2大女子受け部である、バスケかサッカーだったら、靖人の評価も違ったに違いない。

靖人は不本意そうに、難しい顔で唸った。


私はページをさかのぼって、クラス写真のほうに戻った。

恒例の胸から上の写真は夏服なので、白いシャツ姿だ。

スナップのほうでは、学ランを着た健吾くんを見ることができる。

女子のいないクラスだから、見た感じは完全に男子校だ。

健吾くんは中心となってふざける、一番たくさん写っている数名を、すぐそばで冷やかして笑っているポジションて感じ。


うんうん、わかる、わかるよ。

イメージ通りだよ。



「同じ高校にいたかったなあ」

「お前がそれ言っちゃダメだろ」

「え、なんで?」



飽きたのか、靖人が窓際の壁に寄りかかる。

閉めきりの古びたカーテンから、昼の日差しがじわりと靖人を照らして、こちら側に影をつくった。



「お前が社会人だったらなあって言われても、嫌だろ」



手に持ったアルバムの、ページがふいに何枚か繰られ、バランスが崩れて床に落ちた。



「あっ、しまった」

「大丈夫だよ、足平気か」

「うん」



上履きの爪先をかすめただけで、足は無事だ。

角から落下したアルバムを拾い上げて、傷みがないことを確かめると、靖人はそれをケースに戻した。