隠し事なんて、するものじゃない、本当に。

こうして暴かれると、自分で思っていた以上につまらないごまかしを重ねていたことに気づいて、打ちのめされる。

決して健吾くんをだまそうと思ったわけじゃないのに。

でも結果として、無数の小さな嘘をついていた。

こんなのばっかり、私。


ペンダントを握った手が震えた。

健吾くんが苦笑して、その手を開かせ、ペンダントを取り上げる。

金具を外しながら、「これな」と話しはじめた。



「直しに出してくれたんだってさ」

「そうなんだ…」

「もう一度訊くけど。なんで靖人くんが持ってたの」



言いながら、私の首に両手を回す。

金具が留められるのをうなじに感じながら、涙をこらえた。

なんだかもう、誰になにを謝ればいいのかわからない。



「…靖人、私のこと好きなんだって」

「見てればわかるよ」

「私が、健吾くんのこと信じてないって、怒って」



健吾くんの手が、首にほんのわずかな重みを残して離れていく。



「これがないと不安かって言って」

「取り上げられちゃったんだ?」



靖人との気楽な関係が突然終わった、あの瞬間を思い出したら泣くのをこらえきれなくなった。

震える唇を噛んで、こぼれた一粒を指で拭う。

健吾くんが、困ったような顔で笑った。



「靖人くんは、ほんと郁のことよくわかってるよな」

「図星だって言いたいの?」

「そうだよ、郁も自覚あるだろ」



あるよ。

だからどうしたらいいかわからないんじゃないか。

途方に暮れているところに、そうやってわざわざ指摘をもらうと、意味もなく反抗的な気分が湧くから、やめてほしい。



「すねるな」

「そうやって子供扱いするからさあ」

「だって実際、子供なんだもんな」



よしよしと頭をなでられそうになったのを払いのける。

やめてってば、もう。

今、胸の中がぐるぐるなんだから、挑発しないでよ。

健吾くんは余裕な様子で、「なに泣いてんだ」とあきれてみせる。