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【早く帰れるけど、来る?】
ある日の午後、勉強をしに図書館に行こうとしていたとき、そんな連絡が来た。
私は飛びついて、もちろん行く、と返事をしかけて、危ういところで思いとどまった。
会いたい、けど。
【夜まで勉強したいから、やめとく、ごめん】
泣きたい気持ちでそう返した。
健吾くんからはすぐに【そっか、お疲れ】と来た。
会いたい。
でも、ペンダントをしていない理由を説明できない。
「あら、郁実ちゃん」
玄関を出たところで、前庭を掃除していた靖人のおばさんに声をかけられた。
思わずぎくっとして、靖人がいないか確認してしまう。
いなかった。
「今日うちラーメンなのよ、来ない?」
「あ…」
靖人のおばさんは、絞めたばかりの烏骨鶏が手に入ると、スープからラーメンを作る。
これが絶品で、何杯でも飲み干せるくらいおいしいので、ラーメンの日にはお呼ばれすることが多い。
「あの、今日はちょっと用事があって」
「あらあ、残念」
「私も残念」
手を振ってから、バス停に走った。
合宿の後、靖人とは話していないし会ってもいない。
隣の家といっても、学校もない今、偶然顔を合わせることもなく、でも部屋の窓から、靖人の部屋が見える。
カーテン越しに、電気がついたり消えたりするのがわかる。
当たり前のように思っていたその距離を、初めて近すぎると感じた。
「お…おお?」
「わっ、郁実ちゃん…」
図書館で、仲よく勉強しているカップルがいるなと思ったら。
女の子のほうはなっちゃんで、男の子のほうは、まさかの…。
【早く帰れるけど、来る?】
ある日の午後、勉強をしに図書館に行こうとしていたとき、そんな連絡が来た。
私は飛びついて、もちろん行く、と返事をしかけて、危ういところで思いとどまった。
会いたい、けど。
【夜まで勉強したいから、やめとく、ごめん】
泣きたい気持ちでそう返した。
健吾くんからはすぐに【そっか、お疲れ】と来た。
会いたい。
でも、ペンダントをしていない理由を説明できない。
「あら、郁実ちゃん」
玄関を出たところで、前庭を掃除していた靖人のおばさんに声をかけられた。
思わずぎくっとして、靖人がいないか確認してしまう。
いなかった。
「今日うちラーメンなのよ、来ない?」
「あ…」
靖人のおばさんは、絞めたばかりの烏骨鶏が手に入ると、スープからラーメンを作る。
これが絶品で、何杯でも飲み干せるくらいおいしいので、ラーメンの日にはお呼ばれすることが多い。
「あの、今日はちょっと用事があって」
「あらあ、残念」
「私も残念」
手を振ってから、バス停に走った。
合宿の後、靖人とは話していないし会ってもいない。
隣の家といっても、学校もない今、偶然顔を合わせることもなく、でも部屋の窓から、靖人の部屋が見える。
カーテン越しに、電気がついたり消えたりするのがわかる。
当たり前のように思っていたその距離を、初めて近すぎると感じた。
「お…おお?」
「わっ、郁実ちゃん…」
図書館で、仲よく勉強しているカップルがいるなと思ったら。
女の子のほうはなっちゃんで、男の子のほうは、まさかの…。