照れ笑いをするなっちゃんは、かわいい。
そうか、高校最後の夏ともなると、こういうことが起こるのか。
「あれえっ?」
けれど、6番と呼び出されてスタート地点である、誰だかいまだにわからない胸像のある場所に行ってみれば、そこにいたのはなぜか靖人だった。
Tシャツにジーンズという格好の靖人が、素っ頓狂な声を上げた私に目を丸くする。
「なんだ?」
「靖人、8番じゃなかったの?」
「そうだったんだけど、番場が交換してくれって言うから」
「それ、どのタイミング?」
「ついさっき」
ということは…。
「言っとくけど、番場の狙いは有川な。お前じゃなくて」
「わざわざ言われなくてもわかってるよ」
各人の思惑が交錯して、とんだミステリーになってしまった。
これじゃなっちゃんも、スタートしてみてびっくりだ。
あれ?
「靖人、よく私がなっちゃんと番号交換したの、知ってたね」
「だって、もう表が出回ってたぜ。それが逐一更新されてくの。もうくじの意味ねえじゃんって」
「わかる。女子も同じ状態だった」
そこで二度目のあれ? が来る。
「てことは、靖人は、なっちゃん…」
「それ言わないどいて」
とりあえず順路を進もうと歩きだしたところで、靖人が私の発言を遮るように、急いで言った。
つまり靖人は、なっちゃんが靖人目当てで私と入れ替わったのを知っていながら、自分の番号を番場くんに渡したってことだ。
その経緯が耳に入ったら、なっちゃんはショックだろう。
「罪な男…」
「だって仕方ないだろ、なんか言われても俺、応えらんねーもん」
「なっちゃん、かわいいじゃん、野球大好きだし」
「そういう問題じゃない」
ふうん…と納得しかけた直後、私は金切り声を上げた。
「きゃあー!!」
靖人に飛びついたら、向こうが吹っ飛んで木にぶつかった。
そうか、高校最後の夏ともなると、こういうことが起こるのか。
「あれえっ?」
けれど、6番と呼び出されてスタート地点である、誰だかいまだにわからない胸像のある場所に行ってみれば、そこにいたのはなぜか靖人だった。
Tシャツにジーンズという格好の靖人が、素っ頓狂な声を上げた私に目を丸くする。
「なんだ?」
「靖人、8番じゃなかったの?」
「そうだったんだけど、番場が交換してくれって言うから」
「それ、どのタイミング?」
「ついさっき」
ということは…。
「言っとくけど、番場の狙いは有川な。お前じゃなくて」
「わざわざ言われなくてもわかってるよ」
各人の思惑が交錯して、とんだミステリーになってしまった。
これじゃなっちゃんも、スタートしてみてびっくりだ。
あれ?
「靖人、よく私がなっちゃんと番号交換したの、知ってたね」
「だって、もう表が出回ってたぜ。それが逐一更新されてくの。もうくじの意味ねえじゃんって」
「わかる。女子も同じ状態だった」
そこで二度目のあれ? が来る。
「てことは、靖人は、なっちゃん…」
「それ言わないどいて」
とりあえず順路を進もうと歩きだしたところで、靖人が私の発言を遮るように、急いで言った。
つまり靖人は、なっちゃんが靖人目当てで私と入れ替わったのを知っていながら、自分の番号を番場くんに渡したってことだ。
その経緯が耳に入ったら、なっちゃんはショックだろう。
「罪な男…」
「だって仕方ないだろ、なんか言われても俺、応えらんねーもん」
「なっちゃん、かわいいじゃん、野球大好きだし」
「そういう問題じゃない」
ふうん…と納得しかけた直後、私は金切り声を上げた。
「きゃあー!!」
靖人に飛びついたら、向こうが吹っ飛んで木にぶつかった。