「え…?」
「いっちょまえに駆け引きしてんじゃねーよ」
お互い目も開いたままの、なんのムードもないキスだった。
健吾くんは真顔のまま言い捨てると、ごろんと寝返りを打って向こうを向いてしまう。
「え、健吾くん」
「バーカ、郁のバカ、もういい、帰れ」
「ちょっと待ってよ、どうしたの」
「俺だって」
腹立たしそうな声が言う。
「ほっとかれてさみしいのなんか、俺だって同じだ」
タオルケットを丸めて抱えて。
顔を埋めるようにして、ふてくされた声で。
言わせるなよ、って背中で文句を垂れている。
ああ、私。
自信を持たなきゃ、ほんとに。
誕生日だから、なんて義務感じゃなくて。
会いたいから来てくれたんだよね。
一緒にいたいから、来いって言ってくれたんだよね。
「健吾くん…」
肩を揺すっても、返事はない。
絶対起きているはずなのに。
かっこいいのに、かわいくて愛しくて、きっと眠気のせいで熱い背中にぎゅっとくっついた。
「夏休み、私といっぱい遊んでね」
返事の代わりに、脇腹に置いた私の手を、ぽんぽんと叩いてくれた。
■
「さあ、LSVだね!」
「…ラスト…?」
「サマーバケーション」
「浮かれてんな」
「健吾くんもちょこちょこ休み取ってくれるって言うんだもん」
「俺ら、受験生だぞー」
「いっちょまえに駆け引きしてんじゃねーよ」
お互い目も開いたままの、なんのムードもないキスだった。
健吾くんは真顔のまま言い捨てると、ごろんと寝返りを打って向こうを向いてしまう。
「え、健吾くん」
「バーカ、郁のバカ、もういい、帰れ」
「ちょっと待ってよ、どうしたの」
「俺だって」
腹立たしそうな声が言う。
「ほっとかれてさみしいのなんか、俺だって同じだ」
タオルケットを丸めて抱えて。
顔を埋めるようにして、ふてくされた声で。
言わせるなよ、って背中で文句を垂れている。
ああ、私。
自信を持たなきゃ、ほんとに。
誕生日だから、なんて義務感じゃなくて。
会いたいから来てくれたんだよね。
一緒にいたいから、来いって言ってくれたんだよね。
「健吾くん…」
肩を揺すっても、返事はない。
絶対起きているはずなのに。
かっこいいのに、かわいくて愛しくて、きっと眠気のせいで熱い背中にぎゅっとくっついた。
「夏休み、私といっぱい遊んでね」
返事の代わりに、脇腹に置いた私の手を、ぽんぽんと叩いてくれた。
■
「さあ、LSVだね!」
「…ラスト…?」
「サマーバケーション」
「浮かれてんな」
「健吾くんもちょこちょこ休み取ってくれるって言うんだもん」
「俺ら、受験生だぞー」