健吾くんがようやく枕から顔を離して、私を見てくれた。

喉元に指を伸ばして、ペンダントトップを揺らす。



「似合ってる。さすが俺の見立て」

「すごく気に入ったから、もう外さないことにした」

「そっか」



からかわれるだろうという予想に反して、嬉しそうに微笑まれてしまい、うろたえた。

いきなりの健吾くん過多で、キャパオーバーだ。



「じゃあ、おやすみ」

「ええぇ…」

「もうすぐ夏休みだろ? 俺もじきに忙しいの終わるから。そしたらいくらでも話してやるから」



片腕を私の首にかけて、巻き込むように無理やり寝かせる。

無理だって、私はまだ寝られないよ、興奮しちゃって。

羽交い絞めにされた状態で、往生際悪く話しかけた。



「…そうやってほっとくと、知らないよ」

「そうかそうか」

「私、さみしさにけっこう弱いってわかったんだから」



会えない間に何回泣いただろう。

痛くてとか悔しくてとかいう理由で泣いたことなんて、全然記憶にないのに。

眠りかけていた健吾くんのまぶたが開いた。



「しかも、すごく身近に、ほぼまっさらな奴がいることに気づいたんだから」



ちょっとくらい、危機感抱いてくれてもいいと思う。

そんな軽い気持ちで言ったんだけれど、健吾くんがなにも言わずに、じっと目を合わせてきたので、うろたえた。

え…なにこれ。

同じ枕の上で、無言で見据えられて、ものすごく居心地が悪い。


えっ、怒った?

…そんな感じでもないよね。

なんで黙ってるの。

なにか言ってくれないと、困るんだけど…。

健吾くんの目ってきれいな形だね。

そんなことを考えながら青くなったり赤くなったりしていると、いきなり、ぎゅっと押しつけるようなキスが来る。