手の中の箱を、ぎゅっと握りしめた。
「キスしたい」
制服だけど。
健吾くんが困ったことになるの、わかってるけど。
でも、今ここで、してほしい。
それだけはダメだ、といつもの通り言うかと思った健吾くんは、迫ってくる夕闇の中で、柔らかく微笑んで。
私の髪を梳くように、耳の後ろに流して、唇を重ねてくれた。
時間を気にしているのを忘れたような、丁寧で温かいキス。
何度も何度も食んで、角度を変えて、また重なる。
健吾くんて、こういうキス、得意だよね。
"郁が大事だよ"って。
そうささやいてくれているみたいな、そんなキス。
「本気でやばい、行かないと」
「気をつけて、がんばってね」
「後でな」
キスが済むなり健吾くんは、車に飛び乗って行ってしまった。
見送るまでもなく、すぐに車も見えなくなる。
後で会えたら、もう一度謝りたい。
それで、思っていること、ちゃんと話したい。
部屋に上がって、プレゼントを開けると、ピンク色のビロードの台座に、ピンクゴールドのペンダントが輝いていた。
小さなオープンハートのトップの中に、ダイヤが揺れている。
「かわいい…」
ため息が出るほどきれいでかわいい。
一緒に見た中に、こんなのなかった。
もう一度、自分で選び直してくれたんだ。
あんなに忙しそうにしていて、どこにそんな時間があったの?
もっと信じないとダメだよ、私。
健吾くんのこと、信じないと。
自分が弱いせいで、大事な人を信じられないなんて、ダメだよ。
信じられるくらい、強くならなきゃ。
誰かを好きすぎると、泣けるものらしい。
ベッドに顔を埋めて、ひとしきり泣いて。
それから鏡の前でペンダントをつけて、また泣いた。
「キスしたい」
制服だけど。
健吾くんが困ったことになるの、わかってるけど。
でも、今ここで、してほしい。
それだけはダメだ、といつもの通り言うかと思った健吾くんは、迫ってくる夕闇の中で、柔らかく微笑んで。
私の髪を梳くように、耳の後ろに流して、唇を重ねてくれた。
時間を気にしているのを忘れたような、丁寧で温かいキス。
何度も何度も食んで、角度を変えて、また重なる。
健吾くんて、こういうキス、得意だよね。
"郁が大事だよ"って。
そうささやいてくれているみたいな、そんなキス。
「本気でやばい、行かないと」
「気をつけて、がんばってね」
「後でな」
キスが済むなり健吾くんは、車に飛び乗って行ってしまった。
見送るまでもなく、すぐに車も見えなくなる。
後で会えたら、もう一度謝りたい。
それで、思っていること、ちゃんと話したい。
部屋に上がって、プレゼントを開けると、ピンク色のビロードの台座に、ピンクゴールドのペンダントが輝いていた。
小さなオープンハートのトップの中に、ダイヤが揺れている。
「かわいい…」
ため息が出るほどきれいでかわいい。
一緒に見た中に、こんなのなかった。
もう一度、自分で選び直してくれたんだ。
あんなに忙しそうにしていて、どこにそんな時間があったの?
もっと信じないとダメだよ、私。
健吾くんのこと、信じないと。
自分が弱いせいで、大事な人を信じられないなんて、ダメだよ。
信じられるくらい、強くならなきゃ。
誰かを好きすぎると、泣けるものらしい。
ベッドに顔を埋めて、ひとしきり泣いて。
それから鏡の前でペンダントをつけて、また泣いた。