「こら、そこで着替えるな」
「あれっ、もう行ったと思ってた」
「ゴミ捨ててきただけだよ、見えないとこ行け、ほら」
スカートのホックを留めようとしていた私をしっしっとバスルームに追いやると、健吾(けんご)くんはぴしゃりとドアを閉めた。
しまった、気を抜いちゃった。
スカートの中に手を入れて、Tシャツの収まり具合を直し、鏡で顔をチェックする。
学校で禁止されていなくても、メイクはしない。
健吾くんが嫌うからでもあり、別にいらないと私自身が感じているからでもある。
ドアが軽くノックされ、健吾くんの声がした。
「行ってくる、鍵よろしくな」
「待って、私も出る」
「あ、そうなの?」
そっと引き戸を開けると、行かずに待っていてくれている。
濃いネイビーのスーツに明るいブルーのネクタイ。
白い清潔なワイシャツ。
私を軽く見下ろす背の高さで、すなわち175㎝くらい。
"男女の理想の身長差は15㎝"が本当なら、私たちはまさしくそれだ。
顔は、本人もちょっと気にしていて、形容するなら"かわいい"と"かっこいい"の間。
の、限りなく"かわいい"寄り。
彼いわく、もっと男らしくなりたかったというか、なれると思っていたらしい。
『よく考えたら根拠なかった』
そう言って見せてくれたご両親の写真は、ふたりともやっぱり、かわいらしい顔立ちをしていた。
ぱっちりした二重の目に、形のいい鼻、涼しげに整った唇。
生島(いくしま)健吾くん。
24歳の社会人。
どういうわけか、女子高生であるこの私と、こうしてたまに同じベッドで寝たりする関係にある。
「あれっ、もう行ったと思ってた」
「ゴミ捨ててきただけだよ、見えないとこ行け、ほら」
スカートのホックを留めようとしていた私をしっしっとバスルームに追いやると、健吾(けんご)くんはぴしゃりとドアを閉めた。
しまった、気を抜いちゃった。
スカートの中に手を入れて、Tシャツの収まり具合を直し、鏡で顔をチェックする。
学校で禁止されていなくても、メイクはしない。
健吾くんが嫌うからでもあり、別にいらないと私自身が感じているからでもある。
ドアが軽くノックされ、健吾くんの声がした。
「行ってくる、鍵よろしくな」
「待って、私も出る」
「あ、そうなの?」
そっと引き戸を開けると、行かずに待っていてくれている。
濃いネイビーのスーツに明るいブルーのネクタイ。
白い清潔なワイシャツ。
私を軽く見下ろす背の高さで、すなわち175㎝くらい。
"男女の理想の身長差は15㎝"が本当なら、私たちはまさしくそれだ。
顔は、本人もちょっと気にしていて、形容するなら"かわいい"と"かっこいい"の間。
の、限りなく"かわいい"寄り。
彼いわく、もっと男らしくなりたかったというか、なれると思っていたらしい。
『よく考えたら根拠なかった』
そう言って見せてくれたご両親の写真は、ふたりともやっぱり、かわいらしい顔立ちをしていた。
ぱっちりした二重の目に、形のいい鼻、涼しげに整った唇。
生島(いくしま)健吾くん。
24歳の社会人。
どういうわけか、女子高生であるこの私と、こうしてたまに同じベッドで寝たりする関係にある。