黙っていたら、青磁が小さく舌打ちをして、苦々しげに顔を背けた。


「くだらねえ。つまんねえやつ」


は? と私は眉をひそめる。

青磁は硝子玉の瞳に澄んだ青空を映しながら、吐き捨てるように言った。


「行きたいから行くんなら、分かるよ。でも、お前は、行かなきゃいけないから行くのか。誰かに行けって言われたから行くのか。なんだよ、それ」


なぜ彼がこんなに怒っているのか分からない。


私は何か変なことを言っただろうか。

私が言ったことはおかしいだろうか。


くだらないとか、つまらないとか、そんなひどい言葉をかけられるようなことを言っただろうか。


誰もがきっと、行かなきゃいけないから学校に通っている。

青磁は違うのか。


訊いてみたかったけれど、私への苛立ちを隠さない青磁を見ていたら、なんだかこっちまで腹が立ってきて、もう口をききたくも顔を見たくもなくなった。


「知らない」


私は会話を切り上げるように強く言い、青磁を置いて早足で歩き出した。


青磁は相変わらずマイペースな足取りで、周りを見渡しながら、ぶらぶらと私の後ろを歩いていた。


「俺、やっぱ、お前のこと嫌いだわー」


そんなむかつくことを言うので、もう慣れたとはいえやむぱりむかついて、私は学校に着くまで二度と振り返らなかった。