そのマイペースな背中を見つめて、高鳴る鼓動を感じながら、私は考える。


私たちの距離は、とても近いと思う。

朝早くに待ち合わせて、一緒に朝焼けを見て、ご飯を食べて、手を繋いで歩いている。


これはきっと、異性の友達という一言では片付かない。

特別な関係なのは確かだ。


でも、青磁が私たちの関係をどう思っているのか、私には全く分からない。


私は青磁が好きだ。


彼の自由奔放な振る舞いも、突飛な考え方も、なにものにも捕われない生き方も、揺るぎない価値観も、

硝子玉のように澄んだ瞳も、その手が描く繊細で美しい絵も、

全てが私にとっては新鮮で、惹かれずにはいられない。


青磁に会っていないときも、ずっと青磁のことを考えている。

彼の隣で、彼の瞳に映る美しい世界を、ずっと一緒に見ていたいと思う。


でも、青磁は私のことをどう思っているんだろう。


私がいちばん苦しかったとき、彼の絵が私を救ってくれた。

私を屋上に連れ出して、世界の美しさを見せてくれた。

私が心の奥深くに溜め込んでいた苦悩を、吐き出させてくれた。


私が落ち込んでいたら、水鉄砲を作ってくれて、世界の広さを教えてくれた。

雨が憂鬱だと言った私のために、雨上がりの空の絵を描いてくれた。

私の凍えた指を、包み込んで温めてくれた。


たくさんの優しさを彼はくれたけれど、それでも、彼の気持ちは分からない。

恋愛感情を持っているのは、私だけかもしれない。


なんだか泣きそうになってしまって、私は青磁の手をそっと握り返して、冬の朝の澄んだ空を見上げた。