でも、頭の中ではまだそのことを考え続けていた。
生まれつき色素がなくて、髪も肌も白い人がいるというのは聞いたことがある。
でも、青磁はそうではないだろう。
彼は男子にしては色白なほうだけれど、色素がないというような肌色ではない。
それに、睫毛や眉毛は、少し淡い色ではあるけれど、標準的な色をしている。
だからてっきり髪は脱色しているのだと思っていたのに、地毛だと言うから驚いてしまった。
なんとなく、理由は訊かなかった。
たぶん彼は訊いたら教えてくれるだろうけれど、わざわざ話したいことでもないだろう。
それに、青磁の髪が何色だろうが、私にとってはどうでもよかった。
青磁が青磁であることには変わりない。
不思議なほどにはっきりとそう思えた。
「……あ。そういえば」
ふと思い出して、私は鞄を開けた。
本を取り出す。
青磁に頼まれて図書室で借りた色の本だ。
彼が読み終えたというので、せっかくなら私も読んでみようと返してもらっていた。
写真が多くて色鮮やかなページをぱらぱらとめくっていく。
空の下で本を読むというのは、思った以上に気持ちの良いものだった。
真ん中あたりに『日本の伝統色』という章があって、何気なく見ていたとき、私は思わず「あ」と声をあげて手を止めた。
生まれつき色素がなくて、髪も肌も白い人がいるというのは聞いたことがある。
でも、青磁はそうではないだろう。
彼は男子にしては色白なほうだけれど、色素がないというような肌色ではない。
それに、睫毛や眉毛は、少し淡い色ではあるけれど、標準的な色をしている。
だからてっきり髪は脱色しているのだと思っていたのに、地毛だと言うから驚いてしまった。
なんとなく、理由は訊かなかった。
たぶん彼は訊いたら教えてくれるだろうけれど、わざわざ話したいことでもないだろう。
それに、青磁の髪が何色だろうが、私にとってはどうでもよかった。
青磁が青磁であることには変わりない。
不思議なほどにはっきりとそう思えた。
「……あ。そういえば」
ふと思い出して、私は鞄を開けた。
本を取り出す。
青磁に頼まれて図書室で借りた色の本だ。
彼が読み終えたというので、せっかくなら私も読んでみようと返してもらっていた。
写真が多くて色鮮やかなページをぱらぱらとめくっていく。
空の下で本を読むというのは、思った以上に気持ちの良いものだった。
真ん中あたりに『日本の伝統色』という章があって、何気なく見ていたとき、私は思わず「あ」と声をあげて手を止めた。