シャッ、と音がして、薄暗かった部屋の中に光が溢れる。

青磁がカーテンを開けたのだ。


突然の眩しさに目を細めていると、青磁はこちらを向いて少し笑い、それからがらりと窓を開けた。


真っ青な空が広がっていた。

当たり前のことのはずなのに、なぜかその事実にひどく驚いた。

窓の外には空がある、という事実を、きっと私は忘れていたのだ。


私は引き寄せられるように窓のところへと歩いて、窓枠に両手をついて外を見る。

雲ひとつない、突き抜けるように鮮やかな青空だった。


「よく晴れてるなあ。ゆうべは雨だったのに」


隣の青磁が言う。

見ると、やけに嬉しそうに笑っていた。


それから私に視線を落とし、

「さ、行くか」

と言った。


もう終わり? もう少し空を見たいのに。

そう思っていると、青磁は予想外な行動に出た。


「よっ」と声をあげて窓枠に飛び乗ったのだ。


ここは三階。

もしも落ちたら、いくらなんでも無傷では済まないだろう。


私は慌てて「ちょっと、何してるの!」と青磁のシャツの裾をつかんだ。

その手を逆につかみ返される。


窓枠に乗った青磁がにやりと笑い、真上を指差した。


「登るぞ」