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それから2日経った雨の夜、僕は渡に会いに行った。
あがりの時間にあわせて、深夜にバイト先のコンビニに入ると、渡は青い制服を着てまだ仕事中だった。
傘をたたんで入ってきた僕を見て、表情こそ変えなかったけれど、内心はさぞ困惑していただろう。
15分ほど店内で待った。
渡は着替えて、ごく当たり前のように雑誌を読んでいた僕の横にやってきた。
逃げることも避けることもできたのに、しなかった。
僕たちは雨の中を無言で歩く。
どこへ行くとも約束はなく、7月だけど気温の低い夜で次第に身体が冷えてきた。
近くのファミリーレストランに入り、焙煎のきついコーヒーを飲む。
「ごめん」
僕が思い切って謝罪を口にすると、渡は心底不思議そうに答える。
「何が?」
「色々とだけど、一番は渡のことを病院で見つけて、後をつけたこと」
渡はずっと僕と目を合わせない。コーヒーを口元に運ぶと、飲まずにカップを下ろしてしまう。
「謝るのは俺の方だと思わない?」
「へぇ?」
「おまえの首絞めて、ぶっ殺そうとしたの、俺だよ」
僕は思い出したように、バッグから文庫本を取り出した。
あの晩、渡に貸すつもりで、渡が飛び出して行ってしまったため貸しそびれていたものだ。
「幸い、死んでない。あとこれ、忘れてっただろ。あらためて貸す」
「おまえ、ホント話の流れ意味不明だよな。マイペース過ぎるだろ」
渡が毒気を抜かれたように弱々しく笑った。
ああ、鍵が開いたかも。
僕は渡のことを真っ直ぐ見つめた。