渡と会わなくなると、僕は必然、大学の友人とぶらつくことが増えた。
サークルの仲間がほとんどで、一緒にファミレスに行ったり、カラオケに行ったり。
夜は先輩たちの飲み会の隅に参加させてもらうこともあった。

例の事件から一週間ほど経って、その日僕はサークル仲間と飲み会の帰り道で連れ立って歩いていた。
結構真面目な僕は、飲み会というものに参加してもジュースを飲むことにしている。ノリが悪いと言われても面倒事は嫌だったし、どうせあと一年もすれば飲める年齢になるので、さしてアルコールがほしいとも思わなかったのだ。

一浪している友人はすでに二十歳を超えていて、先輩と随分飲んだため、足元が覚束なくなっている。
僕は彼に肩を貸し、のろのろと大学の寮まで送り届けるところだった。

ふらふらと歩き、時に奇声を発して笑いだす友人は厄介な荷物だ。アルコールって恐ろしいな。早く運んでしまおう。

「白井……のど渇いた」

友人が肩で呻いた。

「家に何もないのかよ」

酔っ払いは曖昧に答えるけれど、実際どうなのかはよくわからない。

僕は顔をあげた。目の前には渡が務めるコンビニがある。
近くに自動販売機はないから、水を買うならあそこだ。

どうしようか、今、渡はいるだろうか。

ちょうどいいじゃないか。渡がいるなら顔を見せて、ついでに言えばいい。
この前のことは気にしてない。何か怒らせたなら謝る。また、話をしよう。

……なんて、そんなに簡単に言えたら苦労はしないよな。