渡と友達になった!と思いきや、巨大パフェの件以降、僕はぱったりと渡に会えなくなってしまった。

渡が図書館を訪れなくなったのだ。
あれほどいつも図書館にいたのに。何かあったのかと思うと同時に、避けられているのではとも考えられ僕は勝手に腹をたてた。そりゃあ、ちょっと強引に友達になろうアピールをしたのは気持ち悪かったかもしれない。でも、向こうだって連絡先を交換したじゃないか。交換した後、後悔したクチだろうか。

メールをしてみようかと考え、なんだか媚びているような気がしてできない。
それでも、僕は自分の用事で図書館通いを相変わらず続けていた。


五月末のある日、僕は思わぬところで渡と再会した。
近所のコンビニだ。店内に入って、青い制服を着た店員の一人に見覚えがあって驚いた。探していた渡じゃないか。茶色の髪で愛想ゼロでレジを打つ渡を物陰から見つめ、あまりに似合わなくて笑いそうになる。図書館も不似合だけど、レジ打ちも不似合だ。
渡がレジから離れ、雑誌の陳列を始めたのを機会に、背後にそろりと近づく。

「わーたりくん」

しゃがみこんでいた渡が驚いて僕の方を見上げた。一瞬考える顔をする。

「えーと、シライコウ」

とってつけたような発音だった。いや、名前を覚えていただけ上出来と言ってやるべきかもしれない。